五月空に浮かぶ
『五月空に浮かぶ』
――お、また鯉だ。月刊雑誌に描くのは絵のテーマに苦労する?
まる「たいして苦労はしないけど……半日くらい悩むと出てくるかな。白い紙に向かってあれこれラクガキしながら、タバコを吸いながら、コーヒー飲みながら、そうやってるとある時ぴたっとくる瞬間がある。ダメなときはあきらめて台所仕事したりお風呂に入っているときにポコンと出てきたりすることもある。」
――頭をなるべく空白というか、絵のことを気にかけつつ他のことをする時に出てくる?
まる「あ、でも、部屋の掃除の時はダメ! 掃除しているときは全然出てこない。掃除ってかたづけながらするでしょ。そうすると“これはここにかたづけよう”とか“本の分類はこうしたらどうか”なんて考えてしまうと、絵のことはどっか飛んでしまっている。」
――この絵は、周囲の飾りに妖精やオオサンショウウオ君が出てこないね。
まる「そうねえ……この時は、忘れていたか、めんどくさかったか、どちらかでしょうね。ちっちゃい絵って、案外シンドイんですよお。きちんと描こうとするととてもたいへん。それがめんどいなと思うときがあったりするんです。」